50万V出羽幹線の新設工事開始~東北北部エリアにおける電源接続案件募集プロセスによる基幹系統整備。再エネ連系拡大へ~

東北電力ネットワークは、東北北部エリアにおける再エネ等の系統連系の増加に伴い、電源接続案件募集プロセスによって整備計画となった送変電設備の建設工事を進めています。6月、その1つである出羽幹線の新設工事を開始しました。
東北北部エリアにおける電源接続案件募集プロセスとは
系統連系希望者の希望等により、近隣の電源接続案件の可能性を募り、複数の系統連系希望者が工事費を共同負担して系統増強を行う手続きのことです。
青森県、岩手県、秋田県の全域および宮城県の一部の「東北北部エリア」において、再エネ電源の系統連系希望が増加し、系統の空容量が不足する状況となったため、2016年10月に電力広域的運営推進機関主宰により、本募集プロセスが開始されました。
2021年3月に希望者および接続容量が確定したことから本募集プロセスが完了し、約390万kWの系統連系希望者(再エネ電源)と、基幹系統整備計画が確定しました。
東北電力ネットワークは、この整備計画に基づき、送変電設備の建設工事を進めていきます。
大規模かつ長期間の工事に
本募集プロセスでは、秋田地区と西仙台変電所までの50万V基幹送電線ルート構築を中心に、変電所の新設や昇圧、増設など12件の工事を順次実施する計画であり、全てが使用開始となるのは、2031年度以降になります(表のとおり)。
なお、本募集プロセスの入札対象工事費は、1,542億円に上ります。
今回着工したのが、50万Vの「出羽幹線新設工事」。河辺変電所(秋田県秋田市)から八幡変電所(山形県酒田市)を結ぶ96.4km(鉄塔232基)の新たなルートを構築します。
【整備計画】
※2 2029年度以降一部使用開始
※3 2030度以降一部使用開始
【送電系統図】
・赤字が、本募集プロセスの工事件名。四角で囲っているのが今回の「出羽幹線新設」
「出羽幹線」の設備や工事などの特徴点は
設備の特徴として、冬季の落雷が激しい地区では、送電線上部で送電線を雷から保護する架空地線にACFR(カーボンファイバ芯アルミより線)を新規採用。また、架空地線の3条化(通常は2条)のほか、将来的に避雷装置が設置可能な鉄塔構造とするなど、雷直撃時における電気事故率の低減や設備改修の延伸化を図っています。
ACFR(カーボンファイバ芯アルミより線)
また、調査段階からヘリレーザー測量や3D空間設計CADによる仮設道路設計などの最新知見や新技術を多く採用し、工事費低減にもつなげています。
さらに、工事施工の特徴としては、働き方改革の一環で地形が急峻な個所へ通勤モノレールを採用し作業員の負担を軽減するほか、携帯電話不通エリアへ現場WiFi環境を導入し、緊急時における迅速な連絡手段の確保や作業員の待遇改善を図ります。
現在の状況は
鉄塔の基礎・組立工事を行う前段階として、工事用地の立木伐採や運搬用道路の造成を実施しています。
今回、重機搬入可能個所では従来チェーンソーを用い手作業で行っていた伐木・枝払い・玉切りなどの複数の仕事を一つの工程で実施可能な、高性能林業機械を使用し伐採を行っています。
本機械の使用により、伐採作業の効率化のほか作業員の負担軽減や安全性の向上を図っています。
高性能林業機械を使用した工事用地伐採作業
仮設道路ならびに塔内仮設範囲の伐採状況
工事用道路造成作業
伐採ならびに工事用道路等の造成が完了した個所から順次、鉄塔の基礎工事を実施しています。
なお、基礎の支持層が深い場合には「杭基礎」※や「深礎基礎」を使用します。「杭基礎」は大型の重機を使用することから、人力で掘削する「深礎基礎」に比べて作業員が掘削孔に入らないため作業環境が向上し、工事期間も短縮できます。一方、大型重機が搬入できない山間の傾斜地では主に「深礎基礎」を使用します。
※杭基礎:オールケーシング掘削機で筒状のケーシングチューブを土中に押し込むとともに、チューブ内の土を機械で掘削・廃土する「場所打ち一本杭基礎(鉄塔の1脚毎に1本の場所打ちコンクリート杭を施工)」など。
オールケーシング掘削機
場所打ち一本杭基礎施工状況(鉄筋籠建込み作業)
深礎基礎施工状況(人力による掘削作業)
なお、鉄塔用地や線下用地などの事業用地の取得は概ね完了しています。
担当者にコメントをいただきました!
本工事を担当するのは「送変電建設センター秋田工事所、酒田工事所」および「秋田支社用地センター、山形支社用地センター」です。
送変電建設センター秋田工事所
今回、工事担当者の武田 裕也さんと、用地担当者の門田 稔さんにコメントを頂戴しました。
~工事担当者(秋田工事所) 武田 裕也さん~
出羽幹線新設工事は、秋田市と酒田市にそれぞれ建設予定の河辺変電所から八幡変電所を結ぶ、こう長約96kmの送電線建設工事であり、工期が10年超と非常に長期にわたる工事です。
このうち、秋田工事所では所長以下11名体制で、出羽幹線新設、秋田河辺支線新設、秋盛河辺支線新設の計3件名の施工管理をしています。
私は出羽幹線のうち、由利本荘市から山形県境に至る5工区および6工区(計72基)の施工管理や、出羽幹線の予算管理などを担当しています。
鉄塔基数も多く、各種技術検討や地域対応などにおいて専門的な知識が求められたり、解決に時間を要する事案などがあったりしますが、安定供給に寄与する重要な仕事を担えているため、充実した日々を送っています。
今後も出羽幹線の使用開始に向けて、無事故・無災害で着実に業務を進めていきます。
~用地担当者(山形支社用地センター) 門田 稔さん~
山形支社用地センターは、所長以下5名で山形県内における出羽幹線の用地業務を行っています。
私は、本工事着工に至る約3年前より用地業務を担当し、用地業務を進めるにあたり工事担当個所との連携や、時には用地センター所長を巻き込んで対策を練るなど、チーム力・総合力を発揮し対応してきました。
出羽幹線は一時中断した時期もありましたが、多くの地権者や地域の方々のご協力のもと、このたび無事着工を迎えることができました。
日々、地域の皆さまや地権者の方々に寄り添い、「もっけだのー(ありがとう)」と言っていただけるよう、親切丁寧な対応を念頭に、今後も引き続き用地業務の推進に尽力し、一大プロジェクトの一員であることに誇りを持ちながら取り組んでいきたいと思います。