健康に関する公的機関の見解
健康影響に関する評価
経済産業省 リンク
電力設備電磁界対策ワーキンググループ(2008年6月)
経済産業省原子力安全・保安院は、WHO国際電磁界プロジェクトで超低周波電磁界の健康影響に関する検討が進められていることを踏まえ、電力設備から発生する磁界に関する規制のあり方を検討する必要があると判断し、2007年4月に、電気・電磁波分野及び医学・生物学分野の専門家、電気事業連合会、消費者代表及びマスメディアなどの委員から構成される「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」を設置しました。
電界・磁界が健康に対していかなる影響を与えるかについて、WHOやICNIRPといった国際機関において取りまとめられた知見、国際的な規制の動向や、経済産業省にて行った各種調査結果を含む国内外の研究状況など、現在までに国内外で得られた知見を幅広く収集、整理し、それを踏まえて一般の人々が生活する環境下における電力設備から発生する磁界の規制のあり方について検討を行いました。
検討結果については、大きな(高レベルの)磁界を受けることで直ちに生じる急性影響(短期的影響)と、磁界を長時間受け続けることで生じる慢性影響(長期的影響)の2点に分けて評価をおこない、「電力設備電磁界対策ワーキンググループ」の報告書として公表しています。
その結論は以下のとおりです。
ワーキンググループの結論総括
- 電磁波は、視覚的な認識ができないことから、これによる健康への影響について漠然とした不安が徐々に醸成されつつあるとの状況認識の下、新たに出されたWHOの報告書及びファクトシートに加えて、これまでに蓄積された利用し得る知見を収集、整理し、本ワーキンググループとして集中的に議論を行った。
- 健康影響についての科学的な知見を踏まえた対処もさることながら、本ワーキンググループとして痛感されたのは、国民のリスク認知をもたらす情報不足の改善が第一に重要であるという点である。
- この状況を改善するためには、健康リスクを含めた電磁波に関する正確な情報が恒常的に発信され、バランスのとれた健康リスク情報がきめ細かく国民に届く仕組みが必要となる。電磁波の健康影響に関する研究等を始めとする様々な情報は、国民一人一人にとっては容易に入手可能なものとは言えないことから、これらを整理し、国民の手元に届けるための努力を、電磁波問題に関わる関係各省、関係機関、事業者が連携して進めることが重要である。
- 現時点では、磁界の長期的な健康影響の可能性について不確かさが大きいため、因果関係があると言える程の証拠は見あたらない。したがって、このような影響を考慮した磁界規制には科学的合理性がなく不適切である。少なくとも、国際的なばく露ガイドラインに基づき対処することが、磁界の健康影響から人体を防護するために現時点で最良の施策である。
健康影響に関する結論および政策提言
健康影響に関する結論
短期的影響
- 100μTよりはるかに高いレベルの磁界
⇒人の神経や筋肉を刺激
⇒中枢神経系の神経細胞の興奮性を変化 - 科学的基礎に基づく防護指針としてICNIRPガイドラインやIEEE規格が存在
長期的影響
- 磁界と小児白血病とに関連する証拠の強さは、因果関係を確定できるほど強いものではない
- 懸念対象とされる0.4μTについて「慢性影響の閾値は認められていない」
政策提言
短期的影響
- 磁界の確立された影響から公衆を守るため、ICNIRPが1998年に定めたばく露ガイドラインの制限値100μT(50Hz)を基準値として採り入れる等、必要な諸規定の整備、改正を行うべき。
(補足)
2010年11月にICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)は、1998年に定めたばく露ガイドラインのうち、1Hz〜100kHzの部分を最新の知見に基づき見直しを行い、制限値を200μT(50Hz、60Hz)に変更しました。
経済産業省原子力安全・保安院は、この見直しを踏まえ、2010年12月に開催した「第25回電力安全小委員会」において審議した結果、ICNIRPの改訂ガイドラインの制限値200μTを採り入れて省令の改正作業を行うことを決定しました。
長期的影響
更なる研究プログラム推進
- 磁界と健康影響との間に残る不確かさを低減させるため、産学官が協力して研究を推進すべき
リスクコミュニケーション活動充実
- 不安や疑問を持つ人々との信頼感の構築を目指す電磁界情報センター機能の構築が不可欠
- 測定データなど電磁界に関する情報を上記センターに提供すべき
- 電力は正確な情報を国民に提供するようより一層努力すべき。
- 磁界低減に科学的根拠は見出せないものの、幼稚園・保育所・小学校等多数の子供が定常的に集まる場所、あるいは電磁界の健康影響に強い不安を抱いている住民が住む地域近傍で電力設備を新たに設置する場合には、合意形成に格別の努力を払うべき。
ばく露低減のための低費用方策
- 新設設備について、既に実施してきている高鉄塔化、鉄塔コンパクト化、逆相配列化などを可能な範囲で引き続き継続することが望ましい。
- 既設設備に磁界低減対策を施すことは求めない。
- ただし、大規模な既設設備更新などの際には、新設設備と同様の配慮が行われるべきである
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